実家のお墓が遠くて年に数回しかお参りできない、管理費の支払いが負担になっている、将来的に誰が管理するのか不安…。そんな悩みを抱えている方は少なくありません。
近年、このような背景から「お墓じまい」を検討し、永代供養付きの樹木葬を選択される方が急増しています。この記事では、お墓じまいから樹木葬への移行について、その魅力と具体的な手続きまで詳しく解説します。
なぜ今「お墓じまい」なのか?
現代の家族が抱える課題
現代の多くの家庭では、次のような課題を抱えています
- 距離の問題:就職や結婚で実家を離れ、お墓が遠方にある
- 時間的制約:仕事や子育てで頻繁なお墓参りが困難
- 経済的負担:管理費、交通費、将来の墓石修繕費への不安
- 継承への不安:子供たちに負担をかけたくない気持ち
これらの課題を解決する選択肢として、お墓じまいが注目されているのです。
「樹木葬」という新しい選択肢
樹木葬とは
樹木葬は、墓石の代わりに樹木を墓標とする埋葬方法です。自然に囲まれた環境で故人を供養できることから、「自然葬」とも呼ばれます。
樹木葬の3つのタイプ
1.合祀型樹木葬
- 複数の方と一緒に埋葬される形式
- 費用が最も安価(10万円〜30万円程度)
- 管理の手間が一切不要
2.集合型樹木葬
- 個別の埋葬区画があるが、同じ樹木の下に複数の方が眠る
- 費用は中程度(30万円〜70万円程度)
- ある程度の個別性を保てる
3.個別型樹木葬
- 一つの樹木に対して一つの区画
- 費用は最も高額(70万円〜150万円程度)
- プライベート感を重視する方に適している
永代供養付きのメリット
永代供養付きの樹木葬を選ぶことで、以下のメリットがあります。
- 管理の心配が不要:霊園が永続的に管理・供養
- 継承者不要:子供たちに負担をかけない
- 年間管理費なし:初期費用のみで追加費用なし
- 定期的な供養:春・秋の彼岸やお盆に合同供養
従来のお墓との比較
項目 | 従来の墓石 | 樹木葬 |
初期費用 | 150万円〜300万円 | 10万円〜150万円 |
年間管理費 | 5,000円〜15,000円 | 不要 |
継承 | 必要 | 不要 |
管理 | 自分で行う | 霊園が代行 |
供養 | 自分で行う | 定期的に合同供養 |
お墓じまいから樹木葬への移行手順
ステップ1:家族・親族との相談(1〜2ヶ月)
まず最も重要なのは、家族・親族との十分な話し合いです。
相談のポイント:
- 現在の状況と将来への不安を率直に伝える
- 樹木葬の内容とメリットを説明
- 費用面での比較を示す
- 故人への想いを大切にしながら現実的な選択であることを説明
ステップ2:樹木葬の霊園選び(1〜2ヶ月)
選定の基準:
- 自宅からのアクセス
- 霊園の管理体制と信頼性
- 費用とサービス内容
- 見学時の印象と雰囲気
確認すべき点:
- 永代供養の内容と期間
- 年間行事や供養の頻度
- 将来的な霊園の運営方針
- 契約条件と解約規定
ステップ3:改葬許可申請(2週間〜1ヶ月)
必要な書類:
- 埋蔵証明書(現在の墓地管理者が発行)
- 改葬許可申請書(現在の墓地所在地の自治体で入手)
- 受入証明書(新しい樹木葬霊園が発行)
- 申請者の身分証明書
手続きの流れ:
- 1.新しい霊園で受入証明書を取得
- 2.現在の墓地管理者から埋蔵証明書を取得
- 3.市区町村役場で改葬許可申請書を提出
- 4.改葬許可書を受領
ステップ4:お墓の閉眼供養と遺骨の取り出し(1日)
事前準備:
- 僧侶への閉眼供養の依頼
- 石材店への墓石撤去の依頼
- 作業日程の調整
当日の流れ:
- 1.閉眼供養の実施
- 2.墓石を開けて遺骨を取り出し
- 3.遺骨の確認と清拭
- 4.一時的な保管場所への移動
ステップ5:墓石の撤去と墓地の返還(1〜2週間)
撤去作業:
- 墓石の解体・撤去
- 基礎部分の撤去
- 墓地の整地・清掃
返還手続き:
- 墓地使用権の放棄手続き
- 永代使用料の返還(ある場合)
- 管理事務所への最終報告
ステップ6:樹木葬での埋葬と開眼供養(1日)
埋葬当日:
- 遺骨を樹木葬霊園に運搬
- 開眼供養の実施
- 埋葬式の執行
- 家族での最初のお参り
費用の目安と内訳
総費用の概算
お墓じまいにかかる費用:
- 閉眼供養のお布施:3万円〜10万円
- 墓石撤去費用:10万円〜30万円
- 各種手続き費用:1万円〜3万円
- 小計:14万円〜43万円
樹木葬にかかる費用:
- 樹木葬費用:10万円〜150万円
- 開眼供養のお布施:3万円〜10万円
- 小計:13万円〜160万円
総計:27万円〜203万円
従来のお墓を維持する場合との比較
従来のお墓を20年間維持する場合:
- 年間管理費:10万円〜30万円
- 20年間の総額:200万円〜600万円
長期的に見ると、樹木葬への移行は経済的にもメリットが大きいことがわかります。
よくある質問・不安への回答
- Q「故人に申し訳ない」という気持ちをどう整理すべきか?
- A編集部
故人が最も望んでいるのは、遺された家族が無理をせず、心穏やかに供養を続けることです。負担を軽減しながら、定期的な供養を継続できる樹木葬は、故人の想いにも沿った選択と言えるでしょう。
- Q樹木葬にした後、お参りはどのようにすればよいか?
- A編集部
樹木葬でも通常のお墓と同様にお参りできます。お花やお供え物を持参し、手を合わせて供養することができます。多くの霊園では年間を通じて合同供養も行われています。
- Q将来的に樹木葬霊園が無くなる心配はないか?
- A編集部
永代供養付きの樹木葬を選ぶ際は、霊園の運営主体(宗教法人、公益法人など)の信頼性を確認することが重要です。また、万が一の場合の対応についても契約時に確認しておきましょう。
- Q他の親族から反対された場合はどうすべきか?
- A編集部
十分な時間をかけて話し合いを重ねることが大切です。現在の状況、将来への不安、樹木葬のメリットを具体的に説明し、理解を得られるよう努めましょう。必要に応じて専門家にも相談することをお勧めします。
総括:後悔しない選択のために
お墓じまいから樹木葬への移行は、現代の家族事情に適した現実的な選択肢です。重要なのは、以下の点を押さえることです:
成功のポイント
1. 十分な検討時間を確保する 急いで決めず、半年から1年程度の時間をかけて検討しましょう。
2. 家族・親族との合意を大切にする 独断で進めず、関係者全員の理解と合意を得ることが重要です。
3. 複数の選択肢を比較検討する 一つの霊園だけでなく、複数の樹木葬霊園を見学・比較しましょう。
4. 専門家のアドバイスを活用する 石材店、霊園、行政書士などの専門家に相談することで、スムーズな手続きが可能になります。
まとめ
お墓じまいは「終わり」ではなく、新しい供養の形への「始まり」です。故人への想いを大切にしながら、現実的で持続可能な供養方法を選択することで、家族みんなが安心して故人を偲ぶことができるでしょう。
迷いがある場合は、まず信頼できる樹木葬霊園に相談してみることから始めてみてください。多くの霊園では無料相談やパンフレットの提供を行っており、きっと適切なアドバイスを得られるはずです。
【付録】お役立ちサイト
新潟県内各市町村の改葬許可申請書はこちらよりダウンロードすることができます。
【 あ行 】阿賀野市
阿賀町
粟島浦村
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魚沼市
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【 か行 】
柏崎市
加茂市
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