永代供養の始まりは1985年の比叡山延暦寺から
永代供養は比較的新しい供養の形態であり、1985年に比叡山延暦寺が初めて永代供養墓を設置したことが始まりとされています。
その後、1987年に新潟県、1990年には東京都の寺院にも広まり、各地で導入が進みました。
特に新潟県は全国でも比較的早く永代供養を取り入れた地域であり、当時は新聞やテレビなどのメディアにも取り上げられ、大きな注目を集めました。
本格的に普及が進んだのは、2000年代にインターネットが普及し、永代供養の情報が広く一般に知られるようになってからといわれています。
社会の変化が永代供養を求める時代へ
当初は、「永代供養＝家族を大切にしない」「金銭的に一般のお墓を建てられない人の選択肢」というイメージを持たれることもありました。
しかし、近年では「お寺が管理と供養をしてくれる、安心してお任せできるお墓」として信頼を得ています。
また、少子化・核家族化・都市部への人口集中など社会構造の変化により、
「お墓を継ぐ人がいない」「子どもに負担をかけたくない」と考える人が増加しています。
加えて、葬儀では家族葬などが主流化し、お墓選びでも同様に「個人で完結できるコンパクトな供養」が求められるようになったことが、永代供養の普及を後押ししました。
現代人の価値観に合った新しい供養のかたち
現代では、未婚や離婚などさまざまな生き方を選ぶ人が増え、供養のかたちも多様化しています。
シングルの方、一人暮らしの高齢者、または夫婦のみで生活している方など、
さまざまな事情を持つ方々が合葬墓や樹木葬などをはじめとした「永代供養」という選択を自然に受け入れるようになっており、その注目度は年々増すばかりです。
永代供養は、“後世に迷惑をかけない供養”として現代人の価値観に寄り添った比較的新しいお墓のかたちです。
日本の墓文化は今、まさに大きな転換期を迎えているといえるでしょう。
