新潟のペットの埋葬ができる寺院

ペット供養

 現代は「空前のペットブーム」とも言われ、多くの家庭で犬や猫などの動物たちが家族の一員として大切にされています。その背景には、少子化の進行や核家族化といった社会的な要因があります。たとえば、子どもを持たない夫婦がその代わりにペットを飼ったり、子どもが独立して家を出た後、夫婦二人きりとなった家庭が寂しさを紛らわせるためにペットを飼い始めたりといったケースが多く見られます。ペットは単なる愛玩動物ではなく、人生の伴侶ともいえる存在となってきているのです。
 しかし残念ながら、ペットの寿命は人間よりも短く、多くの飼い主がその最期を看取ることになります。近年では、ペットの葬送についても関心が高まり、供養の形を重視する人も増えています。これまで、ペットの遺骨は郊外のペット専用霊園に埋葬されることが一般的でしたが、実は近年、身近なお寺でもペットの供養を行う場所が増えつつあります。新潟県内でも、ペット専用の合同墓を設ける寺院が増加傾向にありますが、まだその事実を知らない人も少なくありません。

 「お寺は人間のお墓のための場所」というイメージを持っている人が多いかもしれませんが、実際には、ペットのためのお墓や合同供養が可能なお寺も多く存在します。中には、人間のお墓のすぐ近くにペット墓を設けているお寺もあり、家族同然に過ごしたペットの遺骨を、人間の遺骨と同じ空間に安置できることで、大切な存在との距離を感じずにいられると安心する声も聞かれます。
 お寺で行われているペットの供養は、主に複数の動物の遺骨を一緒に納める「合同墓(合葬墓)」の形式が主流です。場所によっては、ペットの名前を彫刻できる銘板プレートを設置できるなど、個別の記憶を大切にするための工夫もなされています。気になる費用についても、比較的手頃な価格設定となっており、一般的には3万円前後が多いようです。中には、動物の大きさに応じて金額を細かく設定している寺院もあり、大型動物が5万円、中型が3万円、小型が1万円といった例もあります。
 さらに最近では、「自分が亡くなった際には、愛したペットの遺骨と一緒に埋葬してほしい」という希望を持つ人が増えています。これは東京や大阪といった大都市圏に限らず、新潟県でも同様の傾向が見られます。実際に、複数の新潟県内の住職からも、そのような相談を受ける機会が年々増加しているという声を耳にします。こうしたニーズに応え、ペットと一緒に入ることができるお墓を用意する寺院も、徐々に増えてきています。

 とはいえ、すべてのお寺がこのような形式に対応しているわけではありません。中には、ペットと人間の遺骨を同じお墓に入れることを一切認めていない寺院もありますし、別区画に専用の墓地を設けて対応しているところもあります。また、動物に対してあまり好意的でない方や、宗教的な観点から人間と動物が同じ場所に埋葬されることに違和感を覚える人も少なくありません。古くからの慣習や考え方に基づいて、「人間と動物は同じ墓に入れるべきではない」という意見も根強く存在します。
 こうした背景を踏まえると、お寺には、時代とともに多様化する人々の価値観や供養の在り方に、柔軟に対応する姿勢が求められているのかもしれません。これまで大切にされてきた歴史や伝統を守りつつ、現代ならではの新しいニーズや考え方も尊重し、それに即した形を工夫していくことが、これからの寺院にとってますます重要な役割となっていくでしょう。

 ペットも、かけがえのない命であり、深い絆で結ばれた家族の一員です。かつては屋外で飼われることが一般的だったペットも、今では多くが人間と同じように室内で暮らし、ともに時間を過ごす存在となりました。そうした存在を見送るにあたって、その想いをきちんと形にし、心から供養できる場所が求められています。
 大切で愛おしいペットのためのお墓も、単なる埋葬の場ではなく、思い出と感謝の気持ちを託す心のよりどころとなります。だからこそ、飼い主にとっても納得のいく形で供養ができるよう、その在り方をしっかりと考え、永遠に大切にしていきたいものです。

 

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