「終活」を始めるタイミングについては、「思い立った時が始めどき」と言えるでしょう。一般的には、定年後や子育てが一段落した60代以降に始める方が多いですが、最近では50代から始める人も増えてきています。その背景には、急な病気や事故などが起きても慌てずに済むようにしておきたいという気持ちや、親の介護や見送りを経験する中で「自分のときはこうしたい」と考えるようになることがあるようです。
また、終活を早く始めることで、自分の人生をあらためて見つめ直し、「やりたかったことに挑戦しよう」と前向きな気持ちになる方も少なくありません。終活は「人生の終わりの準備」であると同時に、「今を大切に生きるための準備」でもあります。年齢に関係なく、「自分の生き方や最期を自分で決めたい」という思いがある方は、ぜひ少しずつでも始めてみるとよいでしょう。たとえば、エンディングノートを一ページだけ書いてみる、保険の見直しをする、アルバムや写真を整理してみる。そういった身近なことから始めるのでも十分です。
終活で取り組むことは、大きく分けて次のような項目があります。
まずは「情報の整理」です。保険・預貯金・年金・医療や介護に関する情報、そしてスマホやインターネットなどの契約内容を整理し、いざという時に家族が困らないようにしておくことが大切です。
次に「希望の記録」です。自分が望む医療や介護の内容、葬儀の形式や方法、遺言的なメッセージなどを、エンディングノートなどに記しておくことで、残された家族が判断に迷うことなく、本人の意向を尊重することができます。
また、「財産や相続に関する準備」も重要なポイントです。自分の財産の把握や、必要に応じて遺言書を作成しておくことで、相続人の間でのトラブルを防ぐことができます。そして、家の片付けや思い出の品の整理など、いわゆる「生前整理」も含まれます。最近では「デジタル終活」として、スマホやパソコンに関するIDやパスワード、利用中のアプリやサブスクリプションの情報などを整理し、記録しておくことも必要になっています。
そして、終活において最も大きなテーマのひとつが「お墓をどうするか」ということです。
実際に、当サイトで寺院や霊園を訪ねると、「成約済」と書かれた札が付いたお墓をよく目にします。これは、生前に契約を済ませている「生前契約」のお墓で、元気なうちにお墓の形や場所を自分で選び、決めておく方が増えている証拠です。
特に近年は、お墓の形や供養のスタイルも多様化しており、「子どもや家族に負担をかけたくない」という思いから、合同墓や樹木葬など、管理や後継者を必要としない永代供養墓を選ぶ方が増えています。
一方で、自分では「まだ早い」と思っていても、お墓のことを決めていないと、結果的に遺されたご家族に大きな負担をかけてしまうことになりかねません。だからこそ、生前のうちに「どんな場所で眠りたいか」「どのような形で埋葬されたいか」といった希望を明確にしておくことが大切です。家族としても、本人の希望に沿った形でお墓を選ぶことができれば、大きな安心につながります。
お墓を決める際は、資料だけを見て決めるのではなく、実際にお寺や霊園へ足を運び、墓地の環境や管理体制、立地などを確認することが大切です。自分自身が最期を迎える場所としてふさわしいかどうか、いくつかの候補を比べて検討するのも良いでしょう。
ただし、現地を見学するには体力や気力も必要です。だからこそ、まだ元気なうちに行動を起こすことが望ましいのです。中には「終活なんて縁起でもない」と感じる方もいますが、実際に終活を始めた人の多くが「心が軽くなった」「安心できた」と感じており、特にお墓を決めたときには、達成感を感じる方もいるそうです。
終活は、未来の不安を減らし、今をより豊かに生きるための大切な一歩です。大切な家族のため、そして自分自身のために、ぜひ前向きに向き合ってみてはいかがでしょうか。
終活のタイミングと、お墓選びについて考えること
