近年、全国的に「墓じまい」が増加しています。ここ新潟でもその動きは顕著で、ある石材店ではお墓を建てる件数よりも、墓じまいの依頼が多いという話もあるほどです。当サイトでお寺を取材していても、「墓じまいが増えている」と住職の方からよく耳にします。実際、境内の墓地を見ると、整然と並ぶお墓の中に撤去された跡地(空き区画)が点在しており、どのお寺でも共通して見られる光景です。それほど、墓じまいへの関心と需要は高まっています。
墓じまいが進まない理由
一方で、「墓じまいをしたいが、よくわからない」「何から始めてよいのかわからない」「遺骨をどう扱えばいいのか不安」といった理由で、実行に移せないままの方も多いようです。確かに、慣れないことでもあり、心理的にも手続き的にもハードルが高く感じられるのは無理もありません。
最初にすべきことは「親族の合意」

墓じまいを進めるにあたって、最も大切で、かつ最初に取り組むべきことは「親族間の意見をまとめること」です。実際、「これが一番大変だった」と話す方も少なくありません。
「代々のお墓を片づけて、子どもたちに負担を残さないようにしたい」という考えが墓じまいの根底にありますが、兄弟姉妹の一人が「先祖代々のお墓をなくすなんてとんでもない」と反対するケースもよくある話です。特に、普段は法事などにも顔を出さないような親族が反対することも珍しくありません。
しかし、時間をかけて丁寧に話し合いを重ね、ある程度納得のいく形で合意が得られれば、墓じまいのプロセスはもう半分が終わったようなもの、と言われるほど重要なポイントです。
遺骨の移転先を決める
親族の合意が得られたら、次に考えるべきは「遺骨の移転先」です。現在ある代々のお墓から遺骨を取り出し、
- 同じお寺の合同墓(合葬墓)に移すか
- 別の場所(別の寺院や霊園など)に移して納骨するか
のいずれかを選ぶことになります。
最初に相談する相手は「現在のお寺の住職」
移転先を決める前に、まずは今までお世話になってきたお寺の住職に、事情を丁寧に説明し、墓じまいをしたい旨を相談しましょう。誠意をもって話せば、住職は理解を示してくださり、今後の流れについても親切に案内してくれるはずです。
移転先が別の寺院・霊園の場合
新潟県内でも、多くの寺院が墓じまいの相談に応じており、当サイトに掲載されている寺院のほとんどが対応可能です。最近では「宗教不問」で受け入れるお寺も増えており、元の宗派と違う宗派のお寺への納骨も可能な場合があります。ただし、新しいお寺では、その宗派の作法に則って法要が行われるため、その点は理解しておきましょう。
石材店への依頼と役所への申請

遺骨の納骨先が決まったら、次は石材店に依頼して、遺骨の取り出しとお墓の撤去工事を進めます。この際、石材店によって費用に大きな差が出ることがあります。指定業者が決まっているお寺もありますが、そうでなければ複数の業者から見積もりを取り、比較するのが良いでしょう。
また、墓地のある地域の役所で「改葬許可申請」を行う必要があります。これは日本の法律で定められている手続きで、申請なしに遺骨を移動することはできません。
新潟県内の市役所や役場では、窓口で申請書を受け取るか、各自治体のホームページからダウンロードできる場合もあります。申請書には、現在の墓地の管理者(住職)の署名・捺印が必要になりますので、忘れずにお願いしましょう。
「墓じまい」は、ご先祖さまへの感謝とともに、次の世代への思いやりでもあります。不安や迷いがあるかもしれませんが、親族と相談し、信頼できるお寺に話を聞くことで、きっと安心して進めることができます。